寒い夜

   

   部屋のカーテンを開けてみた。

深夜まで開いている本屋が明るい。星は見えなかった。

 

   手元のスマホで天気予報を見てみると、晴れのち曇り。もう既に空は雲に覆われているのかもしれない。

 

   いまは随分と便利になったもので、こうして簡単に天気を調べることだって出来る。かといって人の本質が変わるわけでもないのだが。

特に何も見えない夜空を眺める。星が見えないのは夜でも明るいからだろうか、ただ曇りだからであろうか。本当はわかっているのだが、そんな事を考えるフリをしてしまう。

 

   人はどうしても主観で生きる。星が見えないのだって、こちらから見た話であって、曇の向こうでは星はいつもと変わらず浮かんでいるのだろう。物事を客観的に見ることは難しい。特に、目を背けたい現実の場合は。

 

   そうして思い悩むフリをして満足した後、部屋のカーテンを閉めた。もう、星が出ていても出ていなくても、見えない。

部屋の電気を消す。

 

  おやすみなさい。